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Vegas Tips : マルチカメラ編集

 

【マルチカメラ編集】

 

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マルチカメラ編集というのは同期の取れた複数の素材をあれこれ切り替えながら編集していく方法だ。よくテレビ番組で見かける複数台のカメラをディレクターが複数台のモニターを見ながら指をパチンと鳴らして切り替えていく「あれ」だが、生放送、生編集でなくても例えばライブやお芝居を同時に複数台のカメラで撮った物や、ミュージックビデオ等のように一つの音楽に合わせて撮られた別々の素材を後から編集する際にもとても便利な編集方法なのでぜひ使ってほしい。しかも一度に複数の映像を再生する必要がある事から、軽快なプレビューを得意とするVegasならではの操作感でそんなに高性能なPCでなくても十分可能だ。今回はミージックビデオの制作を例に、その手順を解説しよう。

 

1        同期のための下準備

 

複数のカメラの映像を同期させる方法は幾つかある。カメラを同期ケーブルを使って繋ぎ、GEN LOCK という信号を元に全てのカメラを同じタイムコードで走らせる方法や、カメラのタイムコードを「常時RUN」にしておいて素材を時刻に合わせて並べる方法等が一般的だが、これは業務用カメラでないと行えないしケーブルの引き回しやカメラ間の距離等制約も多い。また、一台のカメラで音楽に合わせて順番に撮っていくミュージックビデオでは不可能な方法だ。今回は複数の素材を音楽を頼りに後から同期させる方法を解説するが、その為には撮影現場で鳴らすガイド用の音源に幾つか仕掛けをしておく事が後の編集をずっと楽にしてくれることになるのでそのコツを幾つか紹介しておこう。

 

・クリックを入れておく

 

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後で音を頼りにタイミングを合わせるのでアタックのはっきりした音がないと合わせ辛くなる事は想像できるだろう。音楽の種類でビートがはっきりしている物であればさほど苦労はしないだろうが、例えば流れるような柔らかい音の音楽だと撮影用にガイドとなるクリック音を入れておくと良い。シンガーの心境等も考えるとムードを壊してしまうような音は避けたい所だが、やはりリバーブなどのかかってないドライなクリック音が望ましい。もちろん本番の音楽と全く同じテンポの物を使って撮影しなければならないが、このクリック入りバージョンだけはぜひとも用意してもらいたい。クリックは曲の頭だけではなく、いろんな所に入れておくとそれだけ同期はとりやすくなる。というのも、撮影の段取りとして必ずしも曲の頭から始めるわけではないだろうし、あるカットはサビの部分だけということも考えられる。カット割をよく考えて必要な所に前もってクリックを入れておこう。また、現場でいちいち頭から曲をかけて目的の場所を探すようなことのないように、曲のパートごとに切った音源を用意しておく事も大事だ。このようなの音源作成もVegasでは簡単に準備できるので音声編集、CD制作の紹介する時に詳しく供述する。

1 リップシンクの為に心がける事

リップシンクという言葉はすでに録音されている歌と映像の口が合っているかどうかという、主にタイミングの事を指すのだが、他にも表情や感情のボルテージ等で口の開き方が違っていたりするとタイミングは合っていてもどうも合っていない感じがしてしまう。例えば音源ではシャウトしていてもその場で口を動かすだけの撮影では表情や激しさが合わなくなってしまいがちだ。もちろん撮影の段取りや動きの指示もあるだろうからレコーディングの時と同じようなダイナミクスで歌ってもらうのは難しいと思うが、せめて声は実際に出してもらいたいところだし、できれば本番さながらの声を出してもらいたい。その為に歌入りの物とは別にカラオケも用意しておくといいだろう。歌入りの物がながれているとどうしても気を抜いて鼻歌レベルになってしまう事が多いからだ。視聴者にとってもまさか現場で歌ってはいないだろうという事は分かっていても、やはりあまりかけ離れてしまうと冷めてしまう物だ。その為にシンガーやミュージシャンをうまく乗せることも大変重要だ。最終的に使う音源での歌いまわしや音の伸ばし方等はオリジナルに忠実であってほしいので歌入りの物も大事だが、カラオケとうまく使い分けて広い意味でのリップシンクをできるだけ合わせた状態で撮っておきたい。

2  撮影現場でのモニター

現場でガイドとして音楽を鳴らしながらの撮影ではミュージシャンの気分を第一に考えたい。かといってライブハウスのような大音響で流していては、何度も同じ曲を繰り返す撮影では疲れてしまうし、かといって「聞こえりゃいいだろ」って感じで、極端な話、携帯電話のスピーカーから流してたんでは動きも表情もさえない物になってしまう。最低でもラジカセくらいは用意したい。また、そこから流れる音はミュージシャンに聞かせるだけではなく、カメラのマイクでもしっかり録っておかなくてはならない。これが後で同期の基準になるからだ。そういう意味ではラジカセの置き場にも注意が必要だ。というのも音はちょっとした距離でも厳密にいうと遅れが出てしまうし、特に音が響いてしまうホール等では残響音のせいでアタックがはっきりしなくなってしまうことがある。スピーカーをミュージシャンに向けるとラジカセの背後にカメラが来る事もありそうだが、これは意外に大きな遅れを生んでしまうのでぜひ避けたい。ならばカメラの背後に置いてミュージシャンに向ける方がいい結果を期待できる。

【クリップの同期】

まず撮影時に使ったクリック入りの音源をトラックに読み込み、このあと全ての素材をこの上に並べていく訳だが、その前に曲の頭やクリックの位置に正確にマーカーを打っておくとこの後の作業がやりやすくなる。その時マーカーを打つ位置の波形をしっかり覚えておいてほしい。クリックも横の表示倍率を充分上げて波形の先頭にマーカーを正確に打ちたい。その為に初期設定では「フレーム単位にクオンタイズ」なっているのでそれをはずし、マーカーにスナップするようにしておく。場合によってはフレーム以下の細かさで合わせなくてはならない事もあるからだ。

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次に初めの映像をトリマーで開き音声の波形を見ながら曲の頭かクリックに同じ要領でイン点を設定しトラックに乗せる。この時、曲の先頭にこだわる必要はなく、波形が最も判別しやすい場所で合わせ、トラックに乗せた後で適当に延ばしてやれば良い。

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ここで二つの音が同時に鳴る事になるがこの状態で二つの音声トラックの音量バランスをとり、同じくらいの大きさで聞こえるようにする。そしてピッタリ同期がとれているかを確認するのだが、この段階で緻密に合わせておかないと後で大変な苦労をする事になる。ピッタリ合っている音というのは完全に一体化するという事で一つの音に聞こえる物だ。例えばクリックが「カカッ」と二重に聞こえるなんて事は有り得ないし、ピッタリ一つになったと思っても一度1フレームずつ前後にずらして聞いてみてほしい。よりストレートに音がまとまる感じと何となくフワっと響いた感じに聞こえる差を知る事ができるだろう。この差は位相と呼ばれる音波レベルの差で場合によっては1フレームより細かい単位(サンプル)で動かさなくてはピッタリ合わない時もある。普通、音楽専用のソフトウェアでなければそんな細かい調整は不可能なものだがVegasなら「フレーム単位でクオンタイズ」をはずす事でサンプル単位の移動も可能なので頼もしい。またカメラマイクで録った方の音にはその場の残響音が入ってしまっているので、位相レベルでのマッチングは難しいし、前述のスピーカーからの距離による遅れも影響するはずなので最後は必ず目でも確認しなければならない。こうしてタイミングが合ったら音声のみをミュートする。同じ要領でどんどん素材を同期させていくのだが、必ず主音声と二つしか聞こえない状態で同期させていく。マルチカメラ編集で同時に再生できる素材の数はPCやHDの能力に依存するが、当然数が増えると画質も再生フレームレートも落ちてくるのでご自分の環境に見合った数に留めてほしい。

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【マルチカメラトラックと編集】

全ての素材を同期させた状態で並べ終わったら、必ず複製を作り保存する。この後マルチカメラ編集モードに移るのだが、一旦マルチカメラにしてしまうと一本のトラックにまとめられ、この状態に戻れないからだ。

同期がとれている時点で主音声以外の音声トラックは必要ないので削除、又はミュートしておく。また主音声ももうクリックは必要ないのでこの時点で本番用のクリックのない物と差し替えてもいいだろうが、それはいつでもできる事なのでこのまま続けてもかまわない。ただし、差し替える時はくれぐれも同期を完璧にとるように。

1        全選択+マルチカメラトラックを作成

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2        マルチカメラスイッチON

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これで準備は整った。プレビュー画面が分割されて全ての素材を映しだしている。後は再生させながらテンキーで素材を選択していくだけでカット編集ができてしまう。タイミングを逃したり押し間違えたりした時は再生を止め、取り消しすれば一つずつ前の作業をやり直す事ができるが、カット編集後は通常の編集データとして扱えるので、タイミングに関してはさほどナーバスになる必要はないだろう。このカット編集時にCtrlキーを押しながらテンキーで選択すると編集点に1秒のディゾルブが挿入される。これの微調整や変更も後から自由に行える。

編集結果を確認したい時はマルチカメラスイッチをOFFにすればプレビュー画面が戻る。この操作は頻繁に行う事になりそうなのでショートカット(Ctrl+Shift+D)を覚えておく事をお勧めする。結果を見てみると、特にシンガーのアップの部分等ではリップシンクや撮影現場で生じたほんの少しのディレイ(遅れ)等が気になってしまう事もあるだろう。その微調整も含め、様々な微調整の方法をまた次の機会に解説することにしよう。