インタビュー
R&Bプロデューサー、「JRハットソン 」インタビュー (From Universal Audio)

ソウルフルなサウンドをMusiq Soulchild、ジル・ スコット、等のミュージシャンに提供し続けているR&Bプロデューサー、JRハットソン インタビュー  

By Marsha Vdovin 

 

 

 

JRハットソンは、LAのR&Bシーンにおいて引っ張りだこのソングライター兼プロデューサーです。ハットソンはジル・スコットとの仕事でよく知られており、Musiq Soulchildのグラミー受賞曲“Sobeautiful”のプロデュースも手掛けています。ハットソンは音楽業界において決して“新参者”ではなく、彼の母親はニューヨーク合唱団のプロ・オペラ歌手、そして彼の父親はR&Bミュージシャンでした。ハットソン自身もプロフェッショナルな少年合唱団の一員として世界中をツアーしました。 そして、まだマイアミの高校時代に最初のレコード契約を結びました。彼は忙しいスケジュールの合間をぬって、我々にスムーズなボーカルを引き出す秘訣を教えてくれました。

 

あなたはジル・スコットのアルバムをプロデュースするだけじゃなく、実際にたくさん曲も書いているわね。 

そうだよ!

自分が書いた曲と他の人が書いた曲では、プロデュースする時に何か違いはあるかしら? 

自分が作詞、作曲、プロデュースをする時は、いつも自分が書いたメロディーが、そのまま全体の音楽自体を導いてくれるんだ。だから曲を書いている時にはもう、自分がどんな方向に行くのかわかっている。俺はただ自分のしていることについて、ちょっとだけ多く知っているだけだよ。そして、その知識を曲づくりに生かすんだ。

俺が他の人が書いた曲をプロデュースする時は、まずその人達から曲に関しての知識を得なくちゃならないし、もしくは曲を聴いて、もし自分がその曲を書いていたら、どういう感じかと想像するのさ。 なぜかというと、俺が曲を作る時、ただ音楽の面からだけじゃなくて、心理的な側面からも取り組むんだよ。もし曲がハートビートについてだったら、ドラムパターンをハートビート(心臓音)のようにするとかそんなもんだよ。俺はいつも心理的な観点からも試してみるんだ。曲をもっとおもしろくするためにね。

 

機材について話しましょうよ。仕事をするのに、あなたはどの機材が好きかしら?好きなミキシング・コンソールやボードがあるかしら?またはボックスでミキシング作業をしているの? 

俺はたぶん一番のLosgicファンだろうね。俺は自分のことを“Logicの伝道者”って呼んでるよ(笑)。俺はLogicの大支持者なんだ。 4,5年ほど前にLogicに「改宗」したのさ。それ以来、俺はたくさんの人を改宗させてると思うよ。すべての人がLogicを使うようにするのが、自分の使命だと感じてるよ。

 

 

ボタンをクリックするだけで、Neve EQを入力したり、Roland(RE-201 Space Echo)を遅らせたり、色んなことができる。そして、ただ自分の聴こえるままに操作すればいいんだ。それは、とてもいい意味で大きな違いがあるんだよ。 

あなたは実際のミュージシャンとしての観点から、また演奏者や作曲家としてプロデュースをしているわよね。このタイプのテクノロジーはあなたの音楽を創る過程において、どんな違いをもたらしているのかしら? 

Logicを使い始めた以前は、まず大まかなミキシングをして、その後最終的なミキシングをしたものだ。でも、一度LogicやUADパワープラグインを使ったら、本来そう聴こえるべき音にすごく近くできるようになった。俺の言っている意味わかるだろう?俺にとっては本当に大きな違いだよ。

曲を作らなくちゃいけないし、どんな音にしなくちゃいけないのかも知っているけど、そこに到達できないっていうのは本当にもどかしい。

俺達ミュージシャンの大半は怠け者で、ハードウェアやその他のものを扱ったり操作したりするのをしたくないんだよ。ただ曲を書いてプレイしたいだけだ。だから、俺がハードウェアを扱わなくちゃならなくて、もし自分の周りに、「これやれよ!これとこれ、そしてこれもだ!」と頼むことのできるエンジニアーが一人もいなかったら、何にもやり終えられないよ。

でも今は、すべてそこに揃っている。すでにミックスの中に搭載されていて、すでにフェーダーがかかっている。そしてボタンをクリックするだけで、Neve EQを入力し、Roland(RE-201 Space Echo)を遅らせたり、色んなことができる。そして、ただ自分の聴こえるままに操作すればいいんだ。それはとても大きな違いがあるんだよ。もちろん、いい意味でね。

お気に入りのプラグインはある? 

もちろんさ。今までのところ、Neve社関連のものだ。本当にずばりそのものなんだ。俺はもっと暖かいサウンドがでるものを探してたのさ。   Neveはまったく申し分ない。俺はFATSOもたくさん使ってるよ。

FATSOは本当にすごいと思わない? 

まったくさ。よく使っているよ。それと俺はHarrison(32C EQ)も気に入ってる。俺はそれに搭載してるプリセットが好きなんだ。俺は「プリセット・ガイ」なんだよ。だからもし設定済み機能が搭載されてなかったら、十中八九、俺は使わないよ。

Harrionプラグはマイケル・ジャクソンの「スリラー」をミキシングしたボードをモデルにした物なのよ。 


そうだね。たぶん俺が一番使っているのがそれだ。なぜなら、それが「プリセット」の由来だからさ(笑) でも実際、本当にいい音をだすよ。それに、正直言って、もしその機器にプリセットがなかったら、つまみの調節は俺の実力次第だ。それなら多分俺は使っていないさ。俺にとって君達の商品の売りは、プリセット機能なんだよ。

 

ボーカルについて話さなきゃね。ジル・スコットやMusiq Soulchildと仕事をしたあなたにとって、それは「おはこ」のようなものね。 

ボーカルをレコーディングするにあたって何か特別な秘密やテクニックがある?使うのが好きな特別なマイクやプリアンプはあるかしら? 

俺の秘密が何か知っているかい?特にボーカルは、レコーディングで手を掛けなければ掛けないほど、良いものになるんだよ。

 
あなたはボーカルの“色”を変えたくないのね。 

そうさ。もし俺が曲を自分がやりたい方向でやったら、めちゃくちゃにしてしまうよ。ジルやミュージックのようなアーティストとの時は特に彼らのしていることを正確に把握し、すべてのニュアンスを捕らえたいと思っている。影響を与えたくないんだ。まず、彼らのやろうとしていることを理解し、それを世の中に見せる一番の方法を考え出すんだ。もし、彼らがやろうとしていることがあまりにもダイナミックだったら、ダメだとけなすんじゃあなく、それを上手に圧縮して、そのすべてを失わせないようにするんだよ。

 

ボーカル収録に使うにあたって気に入ってるプラグインはあるかしら? 

俺はたいていNeve社のプラグをすべてに使っている。全部、Neveボードを通すように、システムを組み立てたんだ。全部のトラックにNeve  88RSチャンネルストリップを使っているよ。 

Neve社のプラッグインでどんな点が好きなの? 

 

曲に温かみを与える。俺はただ曲にひょいとプラグインを充てるだけなんだ。ちょっとした違いだけど、でも確かにその違いが聞こえるよ。実際には、聞こえるというより感じるんだ。俺が思うに、ハードウェアのレコーディングからソフトウェアベースのレコーディングにかわった際に、それが多くの人達がなくなってしまって残念と思っていることなんだ。俺は自分が「感触」とか「濃さ」を懐かしいと思っているのを知っている。だから、俺の特効薬はNeve社のプラグをすべての曲に使うことなんだ。俺にとっては、確かに違いがあるんだよ。

 

(ここで、ハットソンのエンジニアー、ショーン・トールマンが部屋に入ってきた。) 

 

こんにちは!ショーン。ジル・スコットのボーカルチェーンについて話していたのよ。何か私たちに話すことあるかしら? 

僕らはNeve、Neumann U67と合わせてヴィンテージNeveマイクプリを使ったよ。それと、リミッタとしてUniversal Audio 1176も使ったよ。ミックス作業の時は、ローランド社のDimension D プラッグインが好きだ。ベースやボーカルにもたくさん使うよ。ミックス作業中、ほんとうに何にでも使うんだ。

どうして? 

だって僕は伝統的スタイルのDimension Dが好きだからさ。でも今ではもうスタジオでは見かけないよ。例えばジル・スコットはとてもリズミカルだから、低音のコーラスとして使ったよ。ベース部分を増大させ、もうちょっと幅広くする。そして、それが彼女のボーカルがもう少し出てくるスペースを作るんだ。基本的にベースステレオを作るからさ。

Neve88RS チャンネルストリップも使ったよ。本当に素晴らしい音をだすんだ。ローエンドの色の点から言えば、それは本物の音にとても近いんだよ

ハイエンドで言えば、ボーカル部分を録音するのにヴィンテージマイクプリを使って、EQとして、リードボーカルとバックコーラス部分を録音するのにNeve88RSチャンネルストリップを使ったよ。僕はボーカル部分を削ったり、削ぎ落とすのに、もうひとつパラメトリックEQを使ったんだ。そして実際、ハイエンドのためにNeveEQを使った。ハイエンドにしたら本当にいい音なんだ。音をクリアにするんだよ。

ショーン、JR, ありがとう。今は何に取り掛かっているの?

今、ラトーヤ・ラケット、インディア・アリーに取り掛かっているんだ。ニューキッズオンザブロックのジョルダン・ナイト、ジェニファー・ハドソン、アンソニー・ハミルトン等―ちょっとスケジュールを見てみるね。

凄いわ!目白押しね! 

そして、もちろんMusiq’やジルの新しいアルバムにも取り組んでいるよ。

Jill ScottのボーカルでUniversal Audio 1176をリミタとして使ったよ。曲をミックスする時には、ローランド社のDimension Dプラグインを使うのが好きだ。ベースやボーカル部分にもよく使っているよ。ミックス作業中、よく使っているんだ。―ショーン・トールマン 

 

あなたは自分のことを、音楽的なバックグラウンドが支えているがゆえに、よりよいプロデューサーなんだと思う? 

もちろんさ。疑いの余地はないね。他の事と同じように、知識を持っていればいるほど上手くできるんだ。でも頭だけの知識じゃないよ。俺が思うに、頭だけの知識でやり過ぎる人達もいるってことさ。でも一般知識として言っているんだ。音楽理論を知っておくのは良いことさ。でも、レコードをつくる上でやり過ぎないようにするにはどうすればいいのかを理解することも大切なんだ。他の人たちがどうやってレコードを作っているのかの知識、他のライターがどうやって曲を書いているのかの知識、曲の重要なキーとなるものの知識、もしくは一番気に入っている曲の  コード構成の知識、そのすべてが(この業界で)長く生き延びていくのに極めて重要なのさ。

たった一曲の大ヒットなんかあまり重要じゃないかもしれない。でも、それが確かに俺がレコードを作り続けている理由なんだよ。 いままで他の仕事をしたことがないんだ。これが、俺が15歳以来ずっとやってきたことなんだ。これが俺の唯一の仕事なんだよ。そして俺はとっても満足な人生を送っているよ。

 

あなたの生い立ちが特別だったように聞こえるけど。 

 

ああ。何が特別かわかるかい?俺の両親は、俺が芸術を通して自身を表現するという俺の価値観を理解してくれていたんだ。完全に理解してくれていた。彼らは俺がある道具が必要で、それが手に入らないとイライラするという点で理解したんだよ。両親達は本当にわかっていたんだ。だから俺の手助けしてやろうとしたのさ。

 

あなたの両親は本当に音楽や創造性を第一の優先としたのね。 

そうさ。俺の母さんは、メトロポリタン・オペラで歌手として歌っていて、本当に自分自身のキャリアにのめりこんでいた。そして、俺の父さんはワーナー・ブラザーズレコードから8枚のアルバムをリリースしたんだ・・それに、彼はDonny Hathaway の為に“The Ghetto”を書いた。  彼は本当にたくさんのことをしたんだよ。

 

あなたの両親はきっとあなたのことを誇りに思っているわね・ 

ああ、そうさ。俺の家族みんな、本当に良かったと思っているよ。俺の幼少の時期に、自分の好きな道を追及することはよい事なんだと、俺に示してくれたのさ。

いつLAに移ってきたの? 

ソロ契約の後、俺がプロデュースを始めた頃さ。俺はファレル・ウィリアムス に出会い、ファレルとライターとして契約したんだ。

パフォームするのが懐かしい? 

ああ、懐かしいよ。

今まで自分がかかわっているレコードで歌ったことはあるの?

あるよ。ジルの前回アルバムと今回のアルバムではたくさんバックコーラスをしたよ。実際には、もっと多く歌っているんだ。今、新しいプロジェクトを考え中なんだ。見逃したらだめだよ。もうじきみんなにお目見えするよ。絶対だ。

このマルチタレントな歌手兼ソングライター/プロデューサーが何を計画中か、彼の新しいプロジェクトについて知りたければ、JR Hutson’s web siteをどうぞ。